二人の王子様

 最高の体験だった。
 プロデューサーが用意してくれたユニット解散ライブ。
 当日の朝まではしょげ返っていた雪歩も、プロデューサーの助言で覇気を取り戻し、ボク達は最高のコンディションでラストライブを迎えた。
 ドームは超満員。
 ライブは最初から盛り上がって、次の曲、また次の曲とさらに盛り上がりを増していった。
 そしてラストソング。
 ボクは、聞いたことのないような大歓声を受けて、無限の力が湧いて来るような気がした。
 雪歩も絶好調。
 ボク達は、今の実力の軽く倍以上、いい歌が歌えていたと思う。
 鳴り止まない拍手と、止まらない歓声の中、ボクらはステージを降りた。

「やったな! 雪歩! 真!」
 舞台袖では、プロデューサーが興奮した面持ちでボクらを迎えてくれた。
「今日のライブは最高の出来だった! 俺が保証する!」
 そう言って、プロデューサーは手を差し出した。ボクがハイタッチすると、雪歩も続いた。そこで、ボクは背後から肩をがしっとつかまれた。
「菊地君、今のライブは素晴らしかった! 私は感動を抑えることができない!」
 振り返ると、社長は涙ぐんで、震えていた。本当に感動していたと全身で表現してるみたいだ。
「私もこの業界長いけれどね、これほどのライブは見たことがない!」
 黙って聞いていると、いつまでも話し続けそうだったから、着替えないといけませんので、とそこそこで切り上げさせてもらった。すぐに楽屋に戻ったけど、雪歩はいなかった。五分かそこらだったはずだけど、さっさと着替えちゃったのか。ボクも急いで着替えて楽屋を出たけど、周りには雪歩の姿も、プロデューサの姿もなくて、ただ社長がいるだけだった。
 ボクはプロデューサーと雪歩の居場所を聞いた。
「さっき萩原君と二人で出て行ったが、てっきり菊地君と三人一緒に打ち上げにでも行くものかと思っていたよ。違うのかね」
 ボクは、社長の声を背中に受けて、走り出していた。

 プロデューサーはボクも雪歩も、公平に扱っていてくれた。公平に扱ってくれていたはずだ。はずだけど、考えているうちに、よく分からなくなってきた。
 よく考えたら、プロデューサーも男だ。思えば、ボクと雪歩は届くファンレターをほぼ半分に分け合っていたけれど、雪歩に届くファンレターのほとんどは男子から、ボクに届くファンレターの九割は女子から。
 公平に見えたプロデューサーから見ても、男みたいなボクよりも、そこらのかわいい女の子よりもずっと女の子らしい雪歩の方が魅力的だった、ってことなんだろうか。
「一年間、ボクは何のためにアイドルやってたんだろうなあ……」
 もちろん、ボクはプロデューサーのためにアイドルをやっていたわけじゃない。
 でも、かわいい女の子になる、という目標は当初は間違いなくあって……その結果がこれじゃ、あまりにみじめなんじゃないだろうか。最近は、女の子向けの演技も、ありだと思うようになっていたけど。
 口から、ステージの上でよく歌った歌詞が勝手に漏れていた。
「♪男では耐えられない 痛みでも
     女なら耐えれます 強いから」
 ステージの上では深く意味を考えてなかったこの歌。今口ずさんだら、涙があふれてきそうだった。
「ボクには耐えられませんよ、プロデューサー……」

 どこをどう歩いたんだろう。
 ドームから事務所までは相当離れているのに、ボクは765プロの事務所の前にいた。
 プロデューサーは、戻ってきてるのかな。それとも今日は直帰? それとも……。
 頭に鉛が詰まったみたいで、考えがまとまらない。
 たぶん、ボクはしばらくの間、事務所の前でぼーっと立っていたんだと思う。
「あら、真ちゃん」
 その声でボクは我に返った。
 コンビニの袋を提げたボブカットの女性。事務の小鳥さんだ。
「こんなところで、どうしたの?」
「あ、えーっと」
 答えられるわけがない。ボクは自分で自分が何をしてるのかわからなかったんだから。
「ダメよ、トップアイドルが街中で呆けてちゃ。さ、入った入った」
「え、ちょっと」
 小鳥さんはボクの腕を取ると、強引にビルの中に連れ込んだ。そのまま、エレベータの前まで引っ張られる。
 エレベーターのボタンを押した小鳥さんが、口を開く。
「どうしたの、ひどい顔してたわよ。さよならライブは成功だった、って社長は電話でおっしゃってたけど?」
 ボクは小鳥さんに何て言ったらいいか分からなくて、ただうつむくことしかできなかった。
 小鳥さんが困った顔をしている。小鳥さんには悪いと思うけど、言葉が出てこない。そうしてると、小鳥さんは、守衛さんがこっちを見ていることに気付いたようだ。右手をすっと、顔の前に差し出して、ないしょ話をする形を作った。
「ガサツでごめんなさいね。人がいるところでは言いたくないわよね」
 チン、とエレベーターが自分の到着を知らせる。
 小鳥さんはエレベータからボクに視線を移すと、右手に提げたコンビニ袋を掲げて見せた。
「上にはもう私しか残ってないから。コンビニのだけどおすすめのスイーツもあるし」
 小鳥さんの笑顔がまぶしい。小鳥さんに続いて、ボクはエレベータに乗り込んだ。七階のボタンを、細い指が押す。
「無理に話せとは言わないわ。甘い物を食べれば少しは元気出るかも知れないし。今日は私のおごり」
「はい……」
 何かが詰まっていたようになっていたボクの喉が、ようやく音を出した。

 小鳥さんの言う通り、見慣れた事務所は小鳥さんの机がある一角以外を除いて全部明かりが消されていて、ボクたちの他には誰もいなかった。
「社長はライブから戻って来て、仕事の続きをされるつもりだったみたいなんだけどね」
 小鳥さんが指差した先には、行き先ホワイトボード。社長の欄の右にはきれいな字で「直帰」と書いてあった。小鳥さんの字だ。
「真ちゃんたちのさよならライブでそれはもう感動しちゃったみたいで。『音無君、今日はもう仕事にならないから、今日は直帰にさせてくれ!』って電話をかけてきたのよ」
 小鳥さんの物真似は本当に上手で、社長とは全然違う声なのにまるで本当に社長が喋っているように聞こえる。 いつもならボクが笑う場面なんだと思うけど、今のボクは笑えなかった。ボクの注意は全部行き先ホワイトボードの、社長の欄の三つ下に向けられていた。戻り時間には、社長と同じように『直帰』と書いてある。右肩上がりで、あまり上手な字じゃない。
「プロデューサーさんと、何かあったの?」
 小鳥さんは自分の椅子に座ると、袋の中からプリンを取り出してボクにすすめた。
「ど、どうして……」
 思わずそう言ったけど、プロデューサーの名前を見つめておいてどうしてもないな、と思った。
「今日のさよならライブは真ちゃんや雪歩ちゃんにとってはファンにさよならするだけじゃなくて、プロデューサーさんともさよならするライブだったのよね」
「……はい」
 普段より一オクターブは低い声が出ていて、自分でもちょっとびっくりした。
「ライブは成功だったはずなのに、そんな日に真ちゃんがあんな顔をしていたら、誰でもわかるわ」
 小鳥さんは、小さなエクレアを食べ終えて、指に付いたクリームを舐めている。
「真ちゃん、プロデューサーさんとはとっても仲良かったものね?」
 自分では、そのつもりだった。でも、今は、そんな確信はない。でも、小鳥さんから見ても、そう見えてたんだ。
「あ、ちょっと元気になったわね。良かったら、話してみない? これでも、真ちゃんの倍ぐらい……」
 ゴホン、と、小鳥さんは社長のような、大きな咳払いをした。
「これでも、真ちゃんよりは数年長く生きてるんだから、何かいいアドバイスができるかも知れないわ」
 小鳥さんは、数年の部分を妙に強調した。
 もやもやを抱えて、いつまでもうじうじしてるのは、ボクらしくない。
 小鳥さんに話すだけでも、すっきりするかも知れない。
「……お仕事、大丈夫なんですか?」
 この時間まで残っていたということは、何かやらなければならないことがあったはず。
 でも、小鳥さんはゆっくりと首を左右に振った。
「真ちゃん、私の仕事はかわいいアイドルのみんながいてこそなの。だから、今はこれが最優先の仕事。わかった?」
「ありがとう、ございます……」
 ボクは小鳥さんの言葉に甘えることにした。小鳥さんの目がやけにキラキラしていたのが、気になったけど……。

 ボクはライブが終わった後のことを、ありのまま話した。そして、そうなった理由についてのボクの考えも。プロデューサーは男みたいなボクより、女の子らしい、可愛い雪歩を選んだんじゃないか、って。
 小鳥さんは黙って話を聞いてくれていた。机の上からはシュークリームとチーズケーキが消えていたけど。ボクの話が終わったのを確認すると、小鳥さんは食べかけのヨーグルトデザートを置いて、ハンカチで口を拭った。
「もし、仮に、仮によ? 雪歩ちゃんの方がずっと魅力的だったとするわ。でも、だからってこれまで全力をかけて育てたアイドルをほったらかしにしてそのままさよならなんてこと、あのプロデューサーさんがするかしら?」
「そう、でしょうか……」
 ボクは、食べかけのプリンに視線を投げた。
「そうよ。きっと何かアクシデントがあったんじゃないかしら。そう考える方が自然だと思うな?」
 ボクは納得のいってない顔をしていたようで、小鳥さんはちょっと困った顔をした。
「ドーム出てから、携帯、見てみた?」
 ボクは、慌ててバッグから携帯を取り出した。仕事の前だから、マナーモードにしてたんだった。
 携帯はバッグの底から出てきた。ランプがぴかぴかと点滅している。不在着信があったしるしだ。ボクは速攻で携帯を開くと、着信履歴を確認した。
 ボクが顔を上げると、小鳥さんは得意げな顔で「ほらね」と言った。
「さ、早くプロデューサーさんに電話してあげなさい。真ちゃんが出ないから、心配してるかも知れないわ」
 ボクがボタンを押そうとしたその時、携帯が震えだした。
「わわっ」
 取り落としそうになって、思わず声が出た。発信元は……雪歩だ。右手が、金縛りにあったように動かない。
「出ないの? プロデューサーさんでしょ?」
 小鳥さんの声が小さく聞こえる。代わりに、携帯が震える音がやけに大きく聞こえた。そろそろ、ボクがかけた側なら諦めて切る頃だ。でも、携帯の震えは止まらない。どんどん大きく聞こえる振動音に耐えられなくなって、通話のボタンを押した。
『もしもし、真ちゃん?』
「……雪歩、どうしたの?」
 プロデューサーは、一緒なのかな。
『ごめんなさい。私、真ちゃんに謝らないといけないと思って』
「謝る……、謝るって?」
『今日……今まで、プロデューサーさんを独り占めしちゃったこと』
 体がびくっと震えるのがわかった。何も返事ができない。
『プロデューサーさんは、わたしと真ちゃん、二人のプロデューサーさんなのに……、私泣いちゃって……プロデューサーさんを振り回しちゃって……』
「え、っと……」
 雪歩がどういうつもりなのか、わからない。どういうつもりなんだろう。
『ごめんね、こめんね、真ちゃん。真ちゃんはプロデューサーさんのこと、大好きなのに』
「ああ、って、ええええええええええええ?」
 自然に、雪歩がとんでもないことを言うから、ボクは大声を出してしまった。
『きゃっ』
 雪歩が電話の向こうで驚いている。
「あああごめん、急に大きな声出したりして。ボボボクがプロデューサーのこと大好きって、どういうこと?」
『違うの?』
 雪歩が落ち着き払った声を出すから、ボクは自分が焦っていることをより強く認識させられて、
「いや違わな……ああえっと……」
 口を開けば、変なことを言ってる。
『うふふ』
 雪歩は、本当に嬉しそうな声を出していた。だから、ボクは思い切って聞いてみることにした。
「雪歩……雪歩はどうなのさ」
『え、私? だって真ちゃんとプロデューサーさんほんとに仲いいんだもん。割って入ろうだなんて思わないなぁ』
 嘘を言っているようには聞こえなかった。そうか、雪歩は別に……。そう分かったら、体から一気に力が抜けた。
『ほんとにごめんね。真ちゃん。最後のライブの後だから、プロデューサーさんと話したいこともいっぱい、いーっぱいあったと思うのに』
「いや、いいよ」
『本当に、ごめんね。でも、プロデューサーさんなら真ちゃんをこのままほったらかしにしたりはしないと思うけど……』
 雪歩も、小鳥さんと同じことを言うんだな。
「そうかな……」
『そうだよー。一年ずっと一緒にいたんだもん。わかるよ。真ちゃんだって、ほんとはわかってるんでしょ?』
 返答に困っていると、雪歩が言葉を継いだ。
『あ、これから私、電車に乗るから。じゃあね。おやすみ、真ちゃん』
「あ、ああ、おやすみ」
 電話を切ると、小鳥さんがまさに得意満面、という顔をしていた。
「ほら。やっぱりでしょ?」
「はい……」
「あのプロデューサーさんが、好きで真ちゃんのことをほったらかすわけがないわ」
「ええ……自分が恥ずかしいです。一年も一緒にいたのに、どこかで信じられていなかったなんて」
 一年間、ずっとボクたちを親身になって見てくれていたのに、あの人のことを信じられないだなんて。
「うふふ。仕方ないわ。恋する乙女は何かにつけて不安になってしまうものだもの」
「小鳥さん!」
 ボクが怒って見せても、小鳥さんはニコニコしている。
「いい顔。さすがトップアイドル」
「もう! からかわないでください!」
 ボクが椅子から腰を浮かせた時、後ろでドアロック解除の電子音がした。
 その音に振り返って、ボクは固まってしまった。
「真……こんなところに!」
「プププ、プロデューサー?!」
 プロデューサーはダッシュでボクに近付くと、両手でボクを捕まえた。顔が、近い……。
「電話も出ないし話し中だし、心配したんだぞ!」
 プロデューサーに揺さぶられて、ボクは我に返った。
「それはこっちのセリフですよ、プロデューサー!」
 プロデューサーは目を丸くした。鈍感というのか何というのか……この人は、自覚があるんだろうか。
「雪歩と二人で急にいなくなっちゃって!」
 大声でやっと分かってくれたのか、プロデューサーは神妙な顔になった。
「申し訳ない。雪歩が泣いて、きかなくてな」
 そんなんじゃ、全然、足りない。ボクが黙っていると、プロデューサーは拝むように頭を下げた。
「すまない! 埋め合わせで好きなところに連れてってやるから許してくれ!」
 プロデューサーが頭を下げるのは仕事で何回も見たことがある。そのどれよりも、本気に見えた。
「……約束ですよ」
「当たり前だ。ありがとうな」
 プロデューサーが、ニカっと笑う。
「しかし、俺は最後まで真に頼りっぱなしだった。反省してる」
「どういうことですか?」
「真はしっかりしてるからな。ついつい、甘えちゃうんだな。雪歩も真がいたおかげで、ずっとしっかりしてきたけど」
「そんな……ボクにとっても、雪歩は目標でしたし」
 ボクは、ちょっとうつむいた。
「そうか……それで、真は、雪歩になれたのか?」
「なれませんでした。いえ、なる必要はなかったと思っています」
 きっぱりと、ボクは答えた。
「そうだ、その通りだ」
 プロデューサーは、満足げにうなずいている。
「真は真で、雪歩は雪歩だ。人はみんな他の誰でもないんだ」
 ボクがアイドルになった理由。それは女の子らしくなりたい、みんなから女の子として見てもらいたい。そういう思いだった。
「自分で気付いてもらうしかないと、俺は思った」
 最初は、雪歩がボクが考える女の子の理想に見えて、うらやましかった。でもいつ頃からだろう。たくさんのファンが応援してくれるようになってから、ボクは雪歩をうらやましがっても仕方ないって思うようになったんだ。
「それで、二人にはデュオを組んでもらった」
 プロデューサーは、ボクの肩に置いた右手を支点に、ぐるっとボクの後ろへ回り込んだ。
「はっきり言って乱暴なやり方だったと自分でも思う。でも真も雪歩も自分で気付いてくれた。俺の誇りだよ」
 ボクの左肩にも、手が置かれていた。ボクが振り向いたら、プロデューサーは顔をそむけた。でも、耳が赤い。照れてるんだ。
「俺は、真のプロデューサーになれて本当に良かったと思っている。ありがとうな」
 照れたプロデューサーの顔も見てみたかったけど、我慢した。
「何か礼をしないとな……と、その前にさっきの約束の方が先か。どこに行こうか」
 両肩からプロデューサの手が離れたから、ボクは床を蹴っていすを回してプロデューサーに向きなおった。
「じゃあ、プロデューサー、覚悟してもらいますよ? 今度の土曜はディズニーランドへ連れて行ってください。そして、ディナーもボクといっしょです」
 プロデューサーは困った顔をしていたけど、笑っていた。
「こりゃ高く付いたな。だが男に二言はない。トップアイドルのためだし、なんとかしてやるぞ」
「やーりぃ!」
「土曜は精一杯エスコートさせていただきます。俺のお姫様」
 プロデューサーが、一流のホテルマンか何かみたいに、優雅にお辞儀をした。
「なな、なななな」
 プロデューサーがなんだかとんでもなくかっこよく見えて、ボクがまともに返事できないでいると、突然背後からぱちぱちぱち、と拍手が聞こえた。
「いやー。いい物見せてもらいましたー。遅くまで残ってた甲斐があったわー」
「小鳥さん!?」
 すっかり忘れてた。小鳥さんがいたんだ。プロデューサーは今までまったく気付いてなかったみたいで、固まっている。
「今のやりとりだけでごはん三杯はいけますね! ごちそうさまでした」
 小鳥さんは胸の前で両手を合わせて、そんなことを言う。
「小鳥さん、このことは……」
 プロデューサーが言い終わる前に、小鳥さんは先回りして答えた。
「大丈夫。言いふらしたりはしません。でも、王子様は今後お姫様を心配させたりしないことが条件ですよ」
 プロデューサーはばつが悪そうに、頭をかいている。
「小鳥さんにはかなわないなぁ……大体、俺は王子様ってガラじゃないですよ」
 その答えを、小鳥さんはとぼけたと受け取ったようで、プロデューサーに詰め寄っている。
「約束するんですか? しないんですか?」
「しますします! しますから!」
 両手をあげて、プロデューサーは降参のポーズをしている。
「よろしい。良かったわね、真ちゃん」
 小鳥さんは大げさにうなずいて、ボクにとびきりの笑顔を向けてくれた。ボクもできるだけステキな笑顔を返そう。
「はいっ」
「くっそー。二人ともひょっとしてグルですか? 俺をゆすっても何も出ませんよ? 安月給なんですから」
 誰からともなく、笑い声が漏れた。
 ボクは、さっき言いそびれた言葉を心の中でつぶやいていた。口に出すのは、今度二人きりになったときまで取っておこう。
 ボクは本当に感謝してるんですよ。ボクは、あなたにプロデュースしてもらえて幸せでした。ボクの、王子様……。


私が初めてアイマスをプレイした時は真のソロユニットだったのですが、その次にプレイしたのが雪歩と真のデュオでした。雪歩をプロデュースしようと思ったのですが、真がいた方がいいなあと思って真を加えたのでした。

そしたらエンディングで真が

真が大放置されて

こりゃああんまりだよあんまりに過ぎませんかええあんまりですよバンナムさんとか思ってる時勝手にこの話の軸ができてしまったので書かずにはおれなかったという次第でございます。

タイトルは雪歩と真二人の王子様であるところのP、と見せかけて真とPがそれぞれ王子様ですという引っ掛けだったりしますがわりとどうでもいいです。タイトルを付けるのは苦手です。

2008.6.15 れらしう
2008.9.7 一部修正

もし楽しんでいただけましたら↓押していただけると幸いです。